新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者ってどんな人?濃厚接触者と言われたら?

こんにちは。
濃厚接触者の方からのお問い合わせが増えているので、今回は濃厚接触者の対応について、お話させていただきます。

濃厚接触者の定義は?

厚生労働省では以下のように記載がされています。
濃厚接触者は、新型コロナウイルスに感染していることが確認された方と近距離で接触、或いは長時間接触し、感染の可能性が相対的に高くなっている方を指します。
濃厚接触かどうかを判断する上で重要な要素は上述のとおり、1.距離の近さと2.時間の長さです。必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触があった場合に濃厚接触者と考えられます。
厚生労働省ホームページより引用

同僚社員が新型コロナウイルスに感染したらどうすれば?

会社の中で新型コロナウイルス陽性の方が出た場合、まず陽性と診断した医療機関が管轄の保健所に届出を出します。その社員の方の住所地の保健所からご本人へ連絡がいき、現在の病状を確認の上、今後の指示をもらうことになりますが、同時に感染源の心当たりや濃厚接触者の有無についてのヒアリングが行われます。そこで濃厚接触者と保健所に判断された方には直接連絡がいき、健康調査やPCR検査などのお話があります。管轄の保健所は実際に本人の住所地や勤務地と異なることもあるため、社員の方は会社にもお知らせする必要もあります。保健所の立ち入り調査が追いつかない現状がある中、管理者が濃厚接触者を判断するための見取り図や席次表を準備したり会議の出席者記録を補完しておくとよいでしょう。
同じオフィス内でもきちんと換気ができていて、お互いマスクをつけ、一定の距離を保っていれば濃厚接触とはならないので、社員の健康を損なうことのないよう、職場内の感染をいかに防ぐかが重要となります。食事や休憩は1人でとる、アクリル板の設置など、職場の環境づくりもできることから始めましょう。
感染者が出たという事実をいたずらに公表することで風評被害にもつながりますが、公表を怠ることで対策が後手にまわりかえって批判につながることもあるので、感染者が出てもすぐに対策がとれるようなシミュレーションが大切です。

濃厚接触者と言われたら?

無症状でも公費でPCR検査を受けることができるので、保健所にどこで検査ができるかを確認し、早めに受けに行きましょう。陽性でも無症状であれば軽症者ホテルや自宅待機を勧められることが多いです。陰性だったとしても14日間の健康観察が必要となり不要不急の外出は控えるように指示があります。
また、保健所から濃厚接触者と認定されなかったけれども不安なのでPCR検査をしてほしいというお問合せも多数いただきますが、その場合は自費の検査となります。会社負担で行うこともあるので、職場に相談してみてもよいかもしれません。

新型コロナウイルス接触確認アプリCocoaが陽性の場合は?

通知の誤作動も問題となっていますが、2週間以内の通知であれば公費でPCR検査を受けることができるとされています。アプリ画面に表示される日時を確認後、濃厚接触と考えられる時間や場所等、説明をしていただき状況を判断させていただきます。


陽性の社員が退院してきたら?

症状があった感染者の方の退院基準は以下とされています。
① 発症から10日経過、かつ症状軽快(※)後72時間経過した場合
② 症状が改善して24時間経過した後、24時間以上の間隔をあけて2回のPCR検査が陰性だった場合
(※)解熱剤を使用せずに解熱しており、呼吸器症状が改善傾向である場合
新型コロナウイルスは発症後7日経つと感染力が急速に落ちるとされているため、①の条件ができたのですが混乱も来しています。①の条件で退院後の方が、会社に陰性証明の提出が必要なためPCR検査をして陰性を確認したいという要望でいらっしゃることがあるのですが、PCR検査は高精度な故、感染力はないウイルスの断片も検知してしまうため、1ヶ月たっても陽性反応が出てしまうことがありました。このようなケースが多発しているそうで、PCR検査で陰性確認をすることは必要ないとされているのです。
ただ、会社側として陰性の証明が必要だという意見ももちろん理解でき、リモートワークなどの対応ができれば良いのですが、職種にもよるので難しい問題です。一番辛いのは本人なので、皆が正しい知識を持つことが重要です。周囲の理解も得られるような職場環境を作りましょう。

仕事を休んでしまった時の保障はある?

新型コロナウイルス感染者で就業不能状態になり給与が支給されない場合は、健康保険に加入していれば、休んだ日の4日目からその補償として健康保険から支払われる傷病手当金の申請ができます。条件にもよりますが、休んだ1日当たり、社会保険に登録している報酬の日額の約2/3の手当が健康保険から支給されるので加入している健康保険組合に問い合わせてみるとよいでしょう。(国民健康保険等の傷病手当金の制度がない保険もあります。)本人は無症状で就業可能な状況でも、濃厚接触者と判断された社員に会社から自宅待機が命じられ場合は会社都合の休業という判断で会社から休業手当が出ることもあります。生活をするために仕事に戻りたい気持ちはもちろんですが、ご自身の健康、周囲への感染拡大を防ぐために協力が必要な時期です。

新型コロナウイルス感染症の拡大が収まってきているように見えますが、リモートワークや自粛生活が解除されていることで、企業や学校など地域での感染リスクは高まってきます。
引き続き、感染には十分注意して過ごしましょう。

監修:
菰池 信彦

専門分野:
内科・消化器内科・肝臓内科・便秘外来・内視鏡検査


資格:
医学博士(東京慈恵会医科大学)
日本内科学会 認定医
日本消化器病学会 専門医
日本消化管学会 指導医
日本肝臓学会 専門医
日本ヘリコバクターピロリ学会 感染症認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本カプセル内視鏡学会 認定医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
厚生労働省緩和ケア研修修了